東京都GAP認証制度|JA東京アグリパーク

GAPとは

 GAPとは「Good Agricultural Practice=良い農業の実践」の略です。
 一般的には「農業生産工程管理」と呼ばれ、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための取組をいいます。
 農産物を生産する各工程において、取組項目に従って適切な作業や管理ができているかを点検・評価、改善しながら、農産物(食品)の安全を確保し、より良い農業を実現していきます。

 東京都では、農林水産省の「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に完全準拠した東京都GAP管理基準書を策定し、平成30年4月から「東京都GAP認証制度」を推進しています。

  •  GAPでは、単に取組項目を確認するだけではなく、農場の生産計画・点検項目の作成、実践・記録、点検・評価、改善の作業を繰り返し実行することによって、農場(農産物)の信用度アップを図ります。

    〈取組項目の例〉

    • ほ場やその周辺を常にきれいに保っているか?
    • 使用済みの廃プラスチックなど、廃棄物の適切な処分を行っているか?
    • 農薬・肥料・燃料などを適切に保管・ 使用し、記録しているか?
    • 危険な作業、場所について検討し、作業見直しや作業現場の改善等で安全な農作業を行っているか?
  • GAPのメリット
    • 食品の安全や品質向上につながります
    • 経営の改善が図られます
    • 環境保全につながります
    • 農作業の事故を低減できます
  • GAP認証取得のメリット
    • 消費者に安心してもらえる、販売先の信頼性向上など、経営上有利になることが期待されます
    • オリンピック・パラリンピックへの食材調達の要件を満たします

GAP認証制度は、現在世界120か国以上に普及して事実上の国際基準となっているGLOBAL G.A.P(グローバルギャップ)をはじめ、日本が推進するASIAGAP(アジアギャップ)、JGAP(ジェイギャップ)などの制度があります。

「東京都GAP」認証取得者の生産地を訪問!

 「東京都GAP」の認証を2019年3月に取得した葛飾区高砂の田中農園(JA東京スマイル管内)を訪ねました。

田中農園 代表  田中 重孝さん(葛飾区)

 代表の田中重孝さんは、自宅周辺に広がる約40アールの耕作地で露地栽培を中心に年間30種類ほどの農作物を育てています。かねてより“安全・安心な野菜作り” に関心を持ち、これまでも東京都のエコ農産物認証の取得などを率先して手掛けてきました。
 現在、田中農園はエダマメ、コマツナなど、東京都GAP取得者中最多※の20品目についてのGAP認証を受けています。

(※ 2019年10月現在)

東京都GAP 認証証書
東京都GAP認証を取得しようとした経緯は?

 「数年前にGAPという制度があることを知り、いつかはやりたいと考えていました。エコ農産物の延長で、安全・安心な農産物を作りたい、農業に対して誇りを持ちたいという気持ちが大きかったんです。
 去年(平成30年)、東京都がGAP認証制度を始めることを知って、本格的に準備を始めました」

実際にGAPを取得しての反響は?

 「それまで付き合いのない小売業者から急に問い合わせが来たりしてびっくりするほどです。東京産の野菜への興味も高まっていますし、GAP認証を取得した農産物へのニーズは確実にあると思います」

 東京都GAP認証を取得することによって、農作業の効率化や販売先からの信頼性の向上など経営の改善に役立てることができるなど様々なメリットが期待できます。しかし、取得までの道程は一朝一夕というわけではなく、生産者自身が農作業の点検項目を策定したり、基準を満たすための改善や自己採点、申請書類の作成など、多岐に渡る準備作業が必要になります。

東京都GAP認証制度の取得フロー
東京都GAP講習会開催の模様(写真提供:葛飾営農研究会)

 東京都及びJA東京中央会では、東京都GAP認証の取得希望者向けの説明会の開催や、GAP指導員による指導、審査費用の無償化など、申請者の負担軽減に繋がる様々な支援体制を敷いています。

 田中さんも東京都GAP認証の申請準備段階で、リスク評価や農作業の記録、各種申請書類の作成など、まるで大学の卒論を仕上げるような苦労があったそうです。

特に苦労したことは?

 「事務作業、デスクワークです。冬野菜の収穫で忙しい時に、GAPの勉強や資料づくりを並行して行うことはやはり大変でした。
 けれども、GAPの基準をクリアするために、それぞれの野菜の生産工程を改めて確認したり、圃場内の危険箇所をしっかりと把握することができました。これは本当にやってよかったと思っています。農業をやる上での向上心というか、心構えや意思を高めることに繋がりました」

 GAP認証の申請書類の作成は、主に自室に置かれたパソコンで行われた。田中さんは日々の農業日誌などもデータ化してクラウド上に保存し、畑ではスマートフォンで情報を閲覧したり、記録を行っている。まさにデジタル世代の農業の実践者。

GAPは農業のスタンダードになっていく

畑の脇にある農業倉庫内。農薬や各種資材、農具などが明確に仕分け・整頓され、危険物等にはラベルによる注意喚起が行われている。

 「GAP認証の取得準備を進めると、畑のこういう処が大事だとか、こういう処が危険が多いとか、農薬や危険物の管理方法などについて、初歩や基礎から学ぶことが出来ます。これから農業を始める人は絶対にやったほうがいいと思います。
 GAPをやれば農業をやる上での心構えや安全・安心の意識が全部身につくはずです。絶対お勧めしたいと思います。
 また、就農から何年か経った人も、改めて自分を見つめ直す機会にもなるのではと思います。今後、GAPは就農者にとって当たり前のこと、スタンダードになっていくのではないでしょうか」

田中さんの今後の目標は?

 「うちで作った作物は、いわゆる庭先販売を中心に、一部をJAの直売所へ出荷したりしています。ある時、うちへ買いに来てくれる主婦の方から『子どもが食べて大丈夫ですか?』と聞かれたことがあります。農産物に対する安全性の意識、食の安全はこれからも一層重要になってくると思います。そのためにも、農業のことをもっと勉強したい。自分の仕事に誇りを持ちたいと考えています」

究極の目標は、農業のイメージ改善!

 「農業はお年寄りが多い、女性が少ない、作業が大変などいろんなイメージがありますが、もっと明るいものに変えていきたいんです。農作業は自分で作業時間を管理できるので、空いた時間を有効に使って、趣味や勉強をすることもできます。もっと若い人たちがやりたがる仕事に、憧れる職業にしていきたいと思います。農業にはその可能性がある。いいところがいっぱいあるんです」